さぽろぐ

日記・一般  |

ログインヘルプ


インフォメーション


QRコード
QRCODE
アクセスカウンタ
読者登録
メールアドレスを入力して登録する事で、このブログの新着エントリーをメールでお届けいたします。解除は→こちら
現在の読者数 0人
プロフィール
チャタケ
北海道出身で、東北の大学を卒業し、東京で働いています。
徐々に南下しています。

2007年05月23日

「博士、漂流」のコラムを読んで

今日はGetty Centerの紹介をする予定でしたが、関心のあるコラムを見つけたので、それに対する意見を書きたいと思います。
記事はこちらです。いずれはリンク切れになるかもしれませんので、簡単な内容を説明します。

以前、博士の就職に関して書きましたが、このコラムも同様です。3人の博士卒の人が紹介されており、一人は卒業後12年かけてこの春准教授になりました(この間の半分は任期付研究員で残りは自分で大学にお金を払い研究させてもらったそうです)。もう一人は、博士取得後8年で今年度で任期が切れるため、就活中。最後は、今年の春から任期付研究員となった人です。
現在、博士修了時点で約4割(ポスドク含む)の人が就職が決まっていないそうです。情報源が不明であるため、このデータの信頼性に不安がありますが、文理を含めても学部、修士卒よりは卒業、修了時点で仕事が決まっていない人は多いのではないかと思います。また、ポスドクも含めて就職が決まっていない人とカウントする方法は、任期後の仕事が保障されていないので正しいカウント方法だと私は思います。
そしてこのデータ(約4割がパーマネントの職に就けていない)に対して、
文科省:大学院は研究者になれないような教育をしてきた。
企業:「博士の付加価値が不明確→企業が博士の採用に消極的→優秀な人材が博士課程に進学しない→博士の付加価値・・・」という悪循環になっているので、「高い付加価値を持つ博士を輩出→企業の博士採用の増加→優秀な人材が博士課程に進学」という循環にならなけばならない。従って、大学の研究室に残ることを前提とした教育を変える必要がある。
大学:安易に国の政策に乗ってしまった。就職先に責任を持てないなら進学させるべきではなかった。
と述べています。

さて、文科省、企業は大学に責任を求め、大学は自己反省をしている図式となっています。
まず、大学の自己反省は当然であると私は思います。大学の教職員が充足率を満たすために博士課程への進学を勧めている点は少なからずあると思います。そして、それを表に出す代わりに、「外国と共同で研究する時に博士号を持ってないと格下に見られる」、「博士の重要性は増すし、ポスドクも充実しているから修了する頃には職の心配がない」という言葉に乗せられて進学した人もいるのではないかと思います。ただ、それに乗せられた人は身近な博士課程に現状を聞いたり、ある程度ネットで調べなさいといいたいです。その点で言えば、学生にも若干の責任があるでしょう。
しかしながら、文科省、企業が大学に責任を求めていますが、それぞれもそれなりの責任は背負っています。
まず、文科省ですが、ポスドクを充実させることで修了後無職になる心配をなくしたことで満足していないでしょうか?もちろん、その後企業などに就職するのは本人の能力などによるかもしれません。しかし、博士の多くが海外(特に韓国や中国など)に流出し、企業も上に示した悪循環のイメージを持っている現状では、国がポスドクを経ずにパーマネントの職に就けるように企業に採用に関する補助金を出したりするなどの積極的な対応が必要なのではないでしょうか?また、大学はニーズに応えるだけではなく、シーズに応えた研究やより遠くの将来を見通した(ただし、結果が国民に反映される見込みがあるもの)研究を行わなければならないと思います。そういった基礎、基盤研究がおろそかになれば、日本が唯一頼れる技術もなくなってしまうと思います。
最後に企業ですが、言い分は正しいのですが、博士に対する見方を変えていただきたいと思います。少なくとも今の研究指導体制では即戦力とはなりません。しかし、企業が求める思考方法や手法などを一通り教えていただければ、それらをベースにしつつ独自の着眼点を元にして、少なくとも修士修了時点からの経過年数が同じ人と同等以上の結果を出す自信があります。そして、この「独自の着眼点」が企業の技術開発において必要になっていくのではないでしょうか?

文科省、企業、大学の弁が書かれていましたが、博士に進学するのは24,25歳とある程度自分の決断に対して責任をもてる歳です。従って、4者の視点で物事を議論していく必要もあるのではないかと思います。
自分も含め、博士課程の学生、修了者に幸あれ!

あなたにおススメの記事

Posted by チャタケ at 07:41│Comments(0)
※このブログではブログの持ち主が承認した後、コメントが反映される設定です。
上の画像に書かれている文字を入力して下さい
 
<ご注意>
書き込まれた内容は公開され、ブログの持ち主だけが削除できます。
削除
「博士、漂流」のコラムを読んで
    コメント(0)